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Swift Industries

シアトル発の自転車バッグメーカーである『Swift Industries(スウィフト・インダストリーズ)』におじゃましてきました! カラフルでかわいくって機能的。ヨーロッパ系の自転車用バッグにはない独特なカラーリングで、北米の若いサイクリストに人気です。東京近郊ではBlue Lugが取り扱っているので、ご存知の方も少なくないのでは?


そんなSwift Industriesの昨年の冬にお引っ越ししたばかりの、新オフィスにおじゃましてきました。まずは、ファウンダーでもあるマルティーナとジェイソンにご挨拶。彼らは自分たちで使うためにバッグ作りをはじめたというサイクリストでもあります。


Swift Industriesのバッグが製作されているスタジオには、カラフルな生地がズラリ。このカラーバリエーションが大きな魅力の一つです。う〜ん。カワイイ!


生地を裁断中のマリー。他のバッグメーカーにはない、独特なサイズのものも多数ラインアップしているんですよね。さらに、Swift Industriesのバッグはカラーのカスタムオーダーも可能。コーディネートの幅が広がります。


主に縫製を担当しているイラーナのデスク。丁寧な縫製にも定評があります。バイシクル・クオータリーのコントリビューターでもあり、フレームビルダーでもあるハーンも愛用中。ハードな使用にも応えてくれるクオリティだと太鼓判を押しています。


そして、ボール遊びが大好きな看板犬のロキ。そんな目で見つめないで〜! かわいすぎます。。この後、私がロキに遊んでもらったのは言うまでもありません。


そしてコチラがショールーム。一度にまとめてこれだけのアイテムが見られるのは、おそらくココだけ。Swift Industriesの提案する、キャンプツーリングやフィッシングに必要なギアもレイアウトされています。いわゆるライフスタイルショップの自転車バージョンですね。


ちなみに、毎週木〜土曜日に時間限定で実施されるオープンスタジオでは、スタジオとショールームの見学が可能。在庫があれば、バッグ類に加えてオリジナルのTシャツや靴下、キャップといった小物類も購入できます。


壁にはローカルアーティストの手によるサインボード。ちなみにこのサインボード、光ります(笑)。


オリジナルの包装紙はチェーンのコマとキャンプとトレードマークのキツネをデザインしたもの。リボンとして使っている登山用のロープがまた、カワイイ。


Swift Industriesは、豊かな自然と都市がよいバランスで共存している街・シアトル発であることを大切にしているブランド。オフィスもシアトルの市街地にあるので、皆さんもシアトルを訪ねたなら、ぜひ。ロキも遊んでくれますよ。


あっ、ちなみにオープンスタジオの開催日時は変更の可能性もあるので、ウェブサイトで事前の確認をお忘れなく。



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Visit C.S.HIROSE

このところ、国内よりも海外を走ることが多くなってきました。なかでも北米のシアトル近郊は、これからさらに走る機会が増えると思います。走る場所が変われば、必要な自転車の構成も変わります。日本を走るのと北米・ワシントン州を走るのとでは、ちょっと違ったツーリング車が必要だな、と実感した私。思い切って、新車をオーダーすることにしました。


フレームは私の走りを誰よりも知っているC.S.HIROSEのヒロセさんにお願いしました。そんなオーダーした自転車がかなりできてきたということで、東京・小平市にあるヒロセさんの工房を訪ねてきました。って、もう塗装も仕上がっています。テンション上がります!


今回、手作りしていただいている細かなパーツたち。美しく磨き上げられた繊細な加工も好きですが、ヒロセさんの生み出す、ちょっと無骨で暖かみのあるハンドメイドなパーツも大好きです。


これまでの自転車と大きく違うのはワイドタイヤ(Naches Pass Tire 26HE×1.8)の採用です。数百km続くグラベルロードはない、といっても言い過ぎではない日本の峠道。だから今までの私のツーリング車は「舗装路とグラベル、どちらも走れること」をコンセプトにしつつも、より舗装路を重視した構成になっていました(Elk Pass Tire 26HE×1.25)。けれど、シアトル近郊には、グラベルロードだけ選んで何百kmも続くコースを組むことができる道があるんです。それも、MTBほどのスペックは必要のないクルマのためのグラベルが。そうなってくると、やっぱりワイドタイヤが欲しくなります。


ジェネレーターハブは、今後のキャンプツーリングの可能性も考えて採用することにしました。最近のLEDは明るいし長持ちするんですが、充電池が使えないものも増えたので宿に泊まらないと充電ができないんですよね……。いつも自転車のバッテリーライト以外に登山用のヘッドライトも持って走っているので、うっかり充電を忘れて一方の電池が切れてもなんとかなるんですが、ちょっと煩わしい。そんな悩みもこの機に解消です。


そんなわけで、あちこち内蔵してくださっています。「通すのに苦労したよ〜」なんて冗談めかして言うヒロセさん。確かに、私には通せなさそう。。どうなっているかというと、まずはフロントホイールに取り付けられたジェネレーターハブで発電をして……



フロントフォークに内蔵されたケーブルが、フォーククラウンの裏からこーんな感じで外に出てきて……


フロントキャリアのパイプの中をこんな感じで通って、ようやくライトにつながります。もう、目がまわりそうです。ワイヤー類の内蔵にまるで興味のなかった私ですが、フォーク&フロントラックまわりは、バッグも付いてごちゃごちゃしがちなので、ジェネレーターハブを使うならケーブル関係はスッキリ見える内蔵にしたかった……けれど、内蔵って大変ですね。


ちなみに、日本なら毎晩民宿や旅館に泊まることもできるので軽装でもOK。けれど、シアトル近郊は町と町との間隔が遠いのでキャンプ装備が必要になりそうなんです。そんなわけで、今回はフロントパニアを採用することにしました。選んだのは、ジルベルソーの小降りなフロントパニア。フレームカラーとも合いそうで、よかった! パニア用のラックはこれから作ってもらいます。


そんなわけで、あと一息で完成の予感。ここからが時間のかかるところという噂もありますが、来年早々には乗れるといいな〜と思っています。それまでに、残りのパーツを準備しなくっちゃ。楽しみです!





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How to Make a Superlight Bike for the “Concours de Machines2017”

コンクール・マシン2017の全日程終了後、オフィシャル・リゾルトが届きました。今回、Bicycle Quarterly(バイシクル・クオータリー)と協働したPeter Weigle(ピーター・ワイグル)のバイクは総合2位を獲得。期待以上のバイクに仕上げてくれました。そのリゾルトは……


最軽量バイク(Lightest bike):1位
審査員によるポイント(Choice of the jury):1位
テクニカル・ポイント(Technical points):1位
※オリジナルパーツやモデファイに対して加算されるポイント。メカトラブル等の問題があれば減点される
メカニック面での減点:なし
各ステージにおける速度面での減点:なし
総合順位(Overall):2位

最軽量、審査員のポイント、テクニカル・ポイントで1位をとっていたことに驚きました。そして、何よりも審査員がピーター・ワイグルのバイクのクラフツマンシップ、そして機能美を評価してくれていたことが嬉しかったです。

たとえば、ピーターはコーナリング時にも最適な角度で路面を照らせるように、フロントフォークではなくフロントキャリアの先端にライトを取り付けています。こうしたディテールにポイントは付きませんが、テストライド前のプレゼンテーションで、審査員が走行に必要な小さなディテールについても評価してくれたことの意味は大きいように感じます。


あれっ。でも、それじゃあ何故、総合順位が2位なの? と、疑問を抱く方もおられるでしょう。実は、総合順位を決めるうえで、最軽量、審査員のポイント、テクニカル・ポイントに匹敵する重要事項が設けられていたのです。そして、ピーターのバイクはそこで高得点を得ることができませんでした。それが何かというと……

会場人気投票:6位(24車両中)
フレームビルダーによる人気投票:7位
レジュメ(ペーパーワーク):15位

コンクール・マシンは、アンベールで毎年開催されている大きな自転車イベントの一環として開催されています。そのため、数千人の来場者のほとんどはロードレーサーのユーザー。日本でいうなら、サイクルモードの来場者のイメージが近いです。多くの来場者にとってのモダンバイクとは? そう考えると、会場人気投票の結果もうなずけます。さらに、コンペティター同士の投票はフェアになりにくいもの。フレームビルダーによる人気投票については、総合順位とは別のカテゴリーで評価してもよかったのではないかと、個人的には感じます。

そして最も順位が低かったのはレジュメ。これには一同、苦笑いでした。本来ならば、私たちが写真撮影など、プレゼンテーションに必要な作業をサポートしなければならなかった。けれど、ピーター・ワイグルの本拠地は北米・東海岸のコネチカット。Bicycle Quarterlyの本拠地は北米・西海岸のシアトル。そして、私は東京から参加。さらに、開催地はフランスという3カ国にまたがるプロジェクト。悔しいですが、言い訳は無用。受け入れざるを得ない結果です。

また、コンクール2日目のテストライドで、ヤンは一緒に走っていたセバスチャンとともに、一カ所GPSの誤作動でミスコースをしています。ミスコースで減点されたことも、順位を落とした理由の一つかもしれません。コースに復帰するために、8kmほど大回りをせざるを得ませんでしたが、幸い主催者はコンクール2日目のテストライドの基準速度を当初の22.5km/hから15km/hに引き下げて採点を行ったそうなので、速度による減点はありませんでした。


とはいえ、今回のコンクール・マシン参加の目的は、私たちにとって「本当に必要な機能を備えたサイクルツーリング・バイク(ランドヌール・バイク)とは何か?」という指針を示すことでした。その目的は十二分に果たせたと感じています。

なかでも嬉しかったのは、最軽量バイク賞を受賞したということ。車両重量は約9.1kg(フレームサイズ C-C / 590mm)。もちろんこれには、通常ロードレーサーを計量するときには含まれない(であろう)、ペダル、フロントキャリア、バックサポーター、ライト、ジェネレーターハブ、泥よけ、マッドフラップ、ボトルケージ(2ヶ)、輪行システム、ポンプ、ライトスイッチシステムも含まれています。これだけでも、パーツを考慮しなければ簡単に2kgほど重量は増えてしまいます。ちなみに、軽量化をさほど意識しないで組まれたフレームの場合、11kg〜12kgというのがツーリングバイクの一般的な重量。9.1kgがいかに軽いか、なんとなく感じとっていただけたでしょうか?


ピーター・ワイグルのバイクは、ぱっと見では軽量化を図っているようには見えません。唯一、見た目にわかるのはチェーンリングに加えられたホールでしょうか。誤解をおそれずに言うならば、最新のテクノロジーを駆使して設計されたモダンパーツは、後から手を加える必要がほとんどありません。上位グレードのものなら、なおさらです。今回、ピーターがチェーンリングやクランクに手を加えることができたのは、ライダーの走り方によるところも大きいのです。

ということは、争点はいかにフレームを軽量化するかということ。そしてキャリアなどのオリジナルパーツをいかに無駄のないデザインに仕上げるかということ。それも、テストライドを乗り切ればいいのではなく、ロングライドにも耐えられるような、そんなバイクのための必要十分な軽量化。ここに、ピーター・ワイグルの長年の経験が活かされました。


正直言って最初にピーターのバイクを見たとき、私もヤンも10kg以上あると思いました。そのぐらい、パッと見ただけでは何故軽いのか、わからないのです。ということは、見えないところに隠された軽量化のヒミツがある。それを解きあかすには、バイクを一度バラしてみるほかありません。


ちなみに、今回のコンクール・マシンで使った主要な既成パーツは以下の通り。軽量化を視野に入れつつも、乗り心地や耐久性を考慮して選んでいます。パーツ選びに関しては、コンクール・マシンのライダーであり、このバイクのオーナーでもあるヤンの好みが大きく反映されているので、ご参考までに。

SON Widebody hub:  SON Deluxジェネレーターハブのワイドボディバージョンを使用。ワイドなフランジは剛性の高いホイールを組むのに有利だと考えました。コンクール・マシンに参加するためにヤンがシュミットに28穴のワイドボディバージョンの製品化を粘り強く交渉し、ようやくその願いが叶いました。

Pacenti Brevet 650B rims: 近年、28穴の650Bリムが容易に手に入るようになりました。ピーター・ワイグルの手によって軽量化のための若干のモデファイが加えられています。

Titanium brake pad eyebolts:  通常、スチール製のボルトをチタン製のものに置き換えることは、強度の問題から推奨していません。ブレーキパッド用のダルマネジは長さがあるので、チタン製でも問題ないと判断。プロトタイプのRené Herse(ルネ・エルス)カンティレバーブレーキ(写真・上)と合わせて使用しています。

Compass Loup Loup Pass Extralight 650B × 38mm tires:  パナレーサーと協働開発を行って誕生したCompass Cyclesの超軽量タイヤ。日本でも手に入りやすくなりました。

Compass René Herse cranks:  フランスの伝説的なフレームビルダーRené Herse(ルネ・エルス)がデザインしたクランクを現代の技術を用いて復活させた銘品。ピーターは一部、モデファイして使用しています。

Compass Maes Parallel handlebars: Compass CyclesとNITTOがコラボした軽量ハンドルバー。

Gilles Berhtoud Galibier saddle :  決して最軽量とはいえないレザーサドルですが、その使い心地のよさで採用。安全性を高めるために取り付けられているブラケットは、今回外して使用しました。

Crank Brothers / Eggbeater11: チタン製の超軽量ペダル。その重量はなんと179g。

Nitto 80 bottle cages:  カーボン製の軽量ボトルケージに比べて重量はあるものの、ホールド力と使いやすさは抜群です。

そのほか、チタン製のボトムブラケット、チタン製カセット(Campagnolo / Record)、カーボン&チタン製の変速機Campagnolo / Record)といった超軽量パーツも使用しています。

そして忘れてはならないのが、Gilles Berhtoud(ジルベルソー)とコラボレーションしたコンクール・マシンのためのフロントバッグ(写真・下左)。通常モデル(写真・下右)と比較して大幅に革の使用部分を減らし、機能を限定し、フロントポケットもなくした1点モノ。なんと、重量は実測値でわずか266g。通常モデルの公称値は550g。私も最初に持った瞬間「軽っ!」と声が出てしまったほどです。使っている帆布も革も通常モデルと同じもの。帆布製×革製のフロントバッグは重たい、という従来のイメージを見事に払拭してくれました。


フロントバッグや携帯工具を含めても約9.7kg。この軽量化は、フロントバッグのメーカーとしても老舗のGilles Berhtoudの協力があったからこそだと言えるでしょう。ちなみに、Gilles Berhtoudからは「うちのロゴを付けると3gぐらい重たくなっちゃうんだけど、付けても大丈夫?」と問い合わせがありました。もちろんOKです! それこそが、コラボレーションの証ですもの。


ちなみに、フレームカラーはピーターがヤンのために選んだ色。「グリーン系にするかブルー系にするか、フレーム色はすごく迷ったよ。でも、ヤンはいつもブルーのジャージを着ているでしょ? だから明るいブルーを選んだんだ」とのこと。自転車はライダーが乗って走って、そこでようやく完成されるもの。ピーターの言葉は、そんな当たり前のことを思い出させてくれる一言でした。

3日間に及ぶコンクール・マシン2017。いかがだったでしょうか? 昨年のコンクール・マシンでは多くのメカトラブルが発生しました。今年は、昨年に比べてかなりメカトラブルが少なかった。コースは昨年以上にタフなものになったにも関わらず、です。そもそも、ライダーの技術や脚力に大きくスピードの左右される自転車は、性能の数値化が簡単ではありません。さらにフレームの素材だけとっても、スチールをはじめとしてステンレスやチタン、カーボン、バンブーetcと多種多様。同じ条件で比較するのは相当に難しい。そんな、実施の難しいテストライド込みのコンクール・マシンは、主催者にとってもチャレンジであるはず。

そんななか、メカトラブルの減少からも見てとれるように、参加ビルダーはどんどん進化していっている。これって、スゴイことだと思いませんか? かつてのコンクール・マシンが、フレームビルダーにとってスチールバイクやアルミ製バイクの可能性の追求と技術革新を生む場となったように、ここから世界に通じるイノベーションが再び生まれる日が来るかもしれません。それってすごく、ワクワクしますよね。今後の展開にも期待! です。

※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
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Concours de Machines 2017_Day3

いよいよコンクール・マシンも3日目。今日は与えられた地図を読んで、各自が好きなルートで走るというもの。最初のチェックポイントとなるCol du Béal で3kgほどの荷物を受け取り、フィニッシュ地点まで運ぶというのが今日のミッション。積み荷が増えるとはいえ、昨日ほどのハードなコースではありません。皆さん、なんだかとても和気あいあいとした雰囲気。


ジルベルソーのオーナーであるフィリップとバイシクル・クオータリー編集長のヤン。フィリップもCol du Béal(地図の1の場所) までは、コンクールの参加者と一緒に走ります。


今日の考えられるルートは、距離は短いけれどグラベル、距離は長くなるけれど舗装路、という2通り。地図上の1(Col du Béal)の場所で積み荷を受け取り、地図上の2の場所を通ってアンベールに戻ります。フランスの地図に慣れていなくても、なんとなくルートが見えてきませんか? ヤンは、どちらの道を選ぶでしょうか。ちなみに、Col du Béalで積み荷を受け取ってからバイクに積むまでの時間が計測され、積載にかかる時間が短いほど高いポイントが得られます。


今日も予報は雨。昨日ほどではありませんが肌寒い。けれど、皆さん笑顔ですね。かなりリラックスモードです。本当のスタート地点はCol du Béalの麓。そこまでは、のんびりサイクリングといった雰囲気でしょうか。ちなみに私はというと、昨日は全ライダーを見届けることができなかったので、今日はCol du Béalには向かわず、直接チェックポイントで待つことにしました。ちなみに、舗装路を選ぶとこんな感じ。


グラベルを選ぶとこんな感じです。プライベートで、のんびり走るサイクリングだったら、断然グラベルのほうが楽しそう。けれど昨日の今日だし、小雨も降り始めています。バイクを酷使する必要もないので、舗装路を選ぶライダーが多いのではないかと密かに予想。ヤンはどちらから来るだろう?


今日も最初にチェックポイントに飛び込んできたのはCyfacのライダー。安定した走りで他の追随を許さず、まさに独走状態です。舗装路メインのルートを選んだようですね。やっぱり速い! ちなみに、フロントバッグのなかに3kgほどの丸太が積まれています。そこが、昨日と今日との違い。荷物があるとどうなるか、というテストなわけですね。どうせなら、昨日のコースで荷物も運べばよかったのに、というのは野暮というもので。


ヤンもやってきました。積み荷の丸太はもちろんジルベルソーのフロントバッグのなか。補給食とレインジャケットを入れても、まだ容量には余裕があるようす。さっとモノを取り出したいとき、フロントバッグは本当に便利です。雨も本降りになってきていたので、ヤンもパパッとレインジャケットを着込んで、フィニッシュ地点のアンベールに向かいます。頑張ってね! ちなみにマッドフラップは、アンベール入りした後、コンクールが始まる前夜に雨予報を確認して「絶対あったほうがいい」と、滞在先でヤンが急きょ作ったもの。マッドフラップがあるとないとでは、脚と靴の濡れ方が全然違います。こういうところに、ブルベサイクリストでもあるヤンの経験が活かされていると感じます。


昨日はグラベルに苦戦したライダーも多かったようですが、ほとんどのライダーが舗装路であれば100km、200kmは流して走ることもできるようなベテラン。雨も、なんだかだんだん、というか、かなり降ってきましたが、皆さんとっても楽しそう。ちょっとしたファンライドといった雰囲気です。


今日はほとんどのライダーが舗装路ルートを選んでいるようです、雨のなか続々とライダーたちがチェックポイントを通過していきます。それほど大きなタイムの開きはありません。今日は、波乱はないのではないかしら?いや、ないにこしたことはないのですが。笑顔で走るライダーを応援していると、こちらもなんだか幸せな気持ちになりますね。


Brevet Cycles(写真・左上)はフレームの一部にステンレススチールを使っていて、それに合わせて泥よけもステンレス。同素材を使うことでさりげなく質感を統一するとは、なんとも粋ですね。ビルダーの美意識を感じます。一方、Gilles Berthoud(写真・右上)はスチールフレームにカーボン製の泥よけ。2台のコントラストが興味深いです。


続々とライダーたちが通過していきます。舗装路を選んだライダーたちから少し遅れて、グラベルを選んだライダーもやってきました。スウェーデンから参加のPATRIK TEGNERは、フロントバッグを使わずに荷物をバンドでキャリアに取り付けるスタイルです。颯爽とチェックポイントを駆け抜けていきました。


Day3:チェックポイント通過時のタイム

Cyfac 12:25
Cycles Andouad / Vagabonde Cycles /ADV Paris 12:40
Peter Weigle(※ヤン)13:00
Cycles Victoire / Pechtregon Cycles / Larix Bicycle / Nomad Cycles 13:05
Cycles Pierre Perrin 13:15 
Brevet Cycles / Gilles Berthoud 13:20
Chemins.CC /Arko Bici 13:30
Edel Bikes / Lafraise Cycles 13:50
Jolie Rouge Cycles 13:52
Menhir / Fée Du Vélo × 200 14:05
Cycles Petrus / Patrik Tegner 14:10 
Grade9 / Grandbois / Martignac DNF

※タイムはあくまでもチェックポイント通過時のもので公式記録とは異なります。また、3日目のみフィニッシュ(コンクール自体はリタイア)、あるいはペナルティを受け入れることでコンクール自体は完走(?)しているフレームビルダーもいます。最終的な記録とは異なることをご了承ください。


最終ライダーの通過を待ち、リタイア組の確認を済ませてフィニッシュ地点に戻ると、すでに走行を終えたバイクの展示が始まっていました。会場では一般の方による人気投票も。結果は総合順位に反映されるため、各ビルダーも熱心に来場者に解説しています。気になるコンクールの結果は速報にまとめているので、コチラをご覧ください。

ところで、オフィシャルで発表があったのは上位3ビルダーと各種特別賞のみ。各フレームビルダーには、個別に詳細なリゾルトを送付するとのことです(完走者のみかは確認中です)。……そして、なんと、今回の詳細な結果を主催者からは積極的に公式発表しないそうです。な、なぜ? 

そこで、バイシクル・クオータリーでは、主催者を通じて各フレームビルダーにリゾルトを問い合わせることにしました。多くのフレームビルダーがすでに編集部あてにリゾルトを送付してくださっているので、詳細なリポートは次号のバイシクル・クオータリーでお届けできる予定です。Peter WeigleのリゾルトはBlogでも公表予定ですので、どうぞお楽しみに♪

※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
コンクール・マシン:リゾルト/ピーター・ワイグル(How to make a superlight bike for the "Concours de Machines 2017")



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Concours de Machines 2017_Day2

コンクール・マシン2日目はアンベールの周囲をぐるりとまわる総距離230km(グラベルロード約50kmを含む)、獲得標高差3800mというタフなコース。コースは直前までベールに包まれていて、数日前に主宰者から配布されたGPSデータとキューシートをもとに走ります。ライトの性能を試すという意図もあって、スタートは夜明け前の午前4時。果たしてどんなコースなのかと、ライダーの表情には緊張が滲みます。


コンクールの目的はあくまでも自転車の性能を試すこと。レースではないので、速ければいいというわけではありません。一方で、グラベルを歩いたり、必要以上にゆっくり走れば、パフォーマンスの高いバイクなのかを測ることができない。そんな理由で、この日のコースには基準となるスピードが設けられました。基準より速くても加点はありませんが遅ければ減点、ということになります。

さらに、ライダーはチームのサポートなしに走らなければなりません。バイクの重量は携帯工具込みで計量され、工具の貸し借りやビルダーやメカニックによるヘルプはNG。ライダーは、それなりに強く、そしてメカトラに対応できる知識も備えている必要があります。もちろん、メカトラブルはないにこしたことがないのですが、工具を車両重量にカウントするのは興味深いシステムですよね。

そんなわけで私も、ヤンのサポートではなくバイシクル・クオータリー取材のためにオフィシャルフォトグラファーのニコラとともに今日1日ライダーを追いかけます。


夜明け前のアンベールはとても寒く、薄手のダウンジャケットに上下のレインジャケットを着込んでも震えが止まりません(6月、しかも車中なのに!)。今日のルートを確認する手も震えます。ひとまず、スタートから25kmほど離れた集落Le Monestierで待つことにしました。今日のコースは基準時速が22.5km/hに設定されています。予定通りなら、1時間から遅くとも1時間半ほどで最初のライダーが通過するはず。


ところが、待てどくらせど一向にライダーが通過する気配がありません。ようやく最初のライダーが通過したのが、スタートから2時間近く経ってから。コースの序盤にグラベルパートがあったこと、ここまで登り基調のコースであったことから、メカトラブルなどもあったのでしょうか。大幅な遅れをとらない限り大きな減点にはなりませんが、想定よりもかなり遅いペースです。


「Bonjour! Ça va? Bonne chance!(こんにちは! 元気? 健闘を祈る!)」と、片言のフランス語で声をかけつつ、展開を見守ります。みなさん、楽しそうに走っていますね。ほっ。最終ライダーを見送って、ひとまず次の撮影ポイントValcivéresへと移動します。


午前7時半、J.P. Weigleのライダーとして走るヤンとBrevet Cycleの走るフレームビルダー・セバスチャンがValcivéresへやって来ました。それにしてもスタートから約50kmのここまで3時間もかかっていますが、大丈夫かしら? 


話を聞けば、分岐の多い今日のコースはGPSデータがあっても分かりにくく、苦戦しているとのこと。サイクリストでもあるフォトグラファーのニコラいわく「フランスでグラベルロードをコースに盛り込もうとすると、かなり複雑なルート設定になってしまう。グラベルを含むサイクリングイベントではGPSが必須なんだよね。それでも分かりにくい。主催者も大変」とのこと。確かに、フランスはいい雰囲気の小径もしっかり舗装されているイメージ。日本とは違った、フランスならではの悩みどころですね。ValcivéresからCol des Supeyresまでは僅か10kmほど。最終ライダーを待たずに、ひとまず峠へと移動することにしました。


標高1366mのCol des Supeyresは吹きさらしの峠。晴れていれば、青空と牧草地の鮮やかなグリーンが気持ちのいい峠です。が、今日はとにかく寒い。峠に着いたライダーは持てる限りの上着を着込みます。それにしても、寒い。私も何度かクルマに逃げ込みました……。

主催者からは、かなりラフなグラベルも含まれると告知があったものの、提示された基準スピードは時速22.5km/h。何度もすいません。けれど、誰もが「乗れる」グラベルだと想像していたんです。ところが実際には、乗って走れるものの、ガレた場所もある様子で「かなりのラフロード。MTBのためのコースって感じ」「ワイドタイヤじゃないとキツい!」とライダー達は口を揃えます。ここでリタイヤすることを決めたチームもあったほど。


峠に最初のライダーが到着したのは8時20分。1時間待っても、数チームしか通過が確認できていません。基準スピードから大幅な遅れがでている今日のコース。私たちも、いつ、どのタイミングでライダーが通過するのか読むことができません。この先、グラベルが続く区間ですが、各区間は短い。クルマで先回りしようとしても、早い段階で峠を通過していたヤンのベストショットを狙うのは難しい状況です。ニコラとも相談をして、ショートカットして次のチェックポイントまで移動。状況を確認することにしました。


チェックポイントのカフェでコーヒーブレイク。ペシュトレゴンのフレームビルダー・マチューとVICTOIREのライダー・マチューがやってきました。攻めず守りに入りすぎずといったペースで、楽しみながら走っているようす。理想的ですね。と、ここでライダーが落車して骨折したらしいという情報が入ります。救急車で運ばれたというけれど、大丈夫なのか……心配です。とはいえ、最終ライダーまで待っているとトップ走者を見失ってしまいます。ここではあまり待たずに、次のポイントへと移動することにしました。


次のチェックポイントはスタートから110km地点の街・La Chaise-Diewにあるベーカリー。今日のトップを激走しているのはCyfac。ほとんどのライダーがチェックポイントごとに十分単位の休憩をとるなか、Cyfacのライダーだけはタイヤの空気圧を調整してすぐにスタート。プロロードレーサーにもフレームを提供するCyfacだけあって、協働するライダーも強いし、走りに対する姿勢もストイック。フレームビルダー自らが走っている場合はもちろんですが、ライダーの走りにも個性があり、それが本当にバラエティ豊かで興味深いです。


15分ほどして、ヤンもチェックポイントのベーカリーに到着しました。補給中の表情はかなり険しく「かなりタフなコース。走れないとか、そういうわけではないけれど、とにかく大変。もっと太いタイヤが欲しくなる(※38mmタイヤを使用)」と、言葉少なに話します。時刻はすでに11時半。スタートからおよそ7時間が経過しています。すでに、最終ライダーはどれだけ遅れが出るか予想もできない。そんな状況になりつつありました。この頃、主催者も大幅な時間の遅れと大きく開いたトップ通過のライダーと後続のタイムに、コースのショートカットを検討し始めます。


最後の撮影ポイントとして選んだPissis。スタートから150kmの地点です。最初に駆けていったのはやはりCyfacのライダーでした。13時8分。トップスピードを誇る彼でも平均時速はおよそ17km/h。基準速度22.5km/hは、最早基準ではなくなっています。30分ほどしてヤンもやってきました。「がんばってー!」と声をかけると「アリガトー!」と元気よく返事が返ってきました。メカトラブルもなく、調子もよさそう。よかった〜。

Cyfacのライダーが通過してから2時間ほど待って、数組が通過。主催者からは、後続のライダーがチェックポイントにたどり着いていない。おそらくショートカットコースに変更する、と、連絡が入りました。ショートカットした場合、この先の区間にグラベルロードはありません。もう、この先でラフグラベルに足を取られることも、メカトラブルが発生することもないでしょう。急がなくては。というわけで、後ろ髪惹かれつつフィニッシュ地点へ向かいます。


16時15分、Cyfacがフィニッシュ。間に合った! 実にスタートから12時間越えのロングライドです。仮に230kmがほぼフラットな舗装路だった場合、ヤンの普段のスピードで8時間程度。12時間越えというのが、いかにタフなコースだったかを物語っているように思います。途中、落車の情報があったライダーについても、骨折ではなく脱臼だったということが判明し、ほっと一息。


フィニッシュ後、パーツの破損や不備などがないか入念な車両チェックが入ります。Cyfacの車両は、フロントラックのボルトに緩みがあったようですが、そのほかは大きな減点になるような箇所もなく車両チェックをクリア。そうそう、42mm幅のワイドタイヤを履いていたんですよね。泥よけ&キャリア付きのカーボンオールロードバイクって、実は初めて見たかも。


ヤンも十数分後にフィニッシュ。コチラもメカトラブルなどはなく、車両チェックも無事に終了。自信をもって乗れるバイクだから! と、パンク修理キットしか持たずに出かけましたが……正直、ほっとしました。大丈夫とわかっていても、待っているほうは心配ですよね。ちなみに、フィニッシュ後「ほとんど乗って走れるいい道ではあったんだけど、22.5km/hはちょっと無理だった。200mぐらい押したかな。本当、太いタイヤが必要だと実感するコースだったよ」と、ヤンが見せてくれた写真がコチラ。


う〜ん。確かに。ちなみに、フランスで未舗装の道というと、大抵はトラクター用の作業道なのだそう。グラベルと一口にいっても、国によって雰囲気が変わるのだなぁと実感しました。何はともあれ、ケガもなく無事に戻ってきてくれてよかった! 詳しいレポートは次号のバイシクル・クオータリーに掲載予定ですので、どうぞお楽しみに♪

※コンクール・マシン関係の本Blogはコチラにリンクを貼ってあります。
コンクール・マシン:初日・プレゼンテーション(Concours de Machines Day1)
コンクール・マシン:2日目・テストライド(Concours de Machines Day2)
コンクール・マシン:3日目・テストライド(Concours de Machines Day3)
コンクール・マシン:リゾルト(Concours de Machines Result)
コンクール・マシン:リゾルト/ピーター・ワイグル(How to make a superlight bike for the "Concours de Machines 2017")






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