Gilles Berthoud

モダンなレザーサドルや伝統的なデザインの自転車用バッグが人気のフランスの老舗メーカー『Gilles Berthoud(ジルベルソー)』におじゃましてきました。リポート記事は、1号前のバイシクル・クオータリーvol.60に掲載。今日はそんな、ジルベルソー訪問記をダイジェスト版でお届けします。


オーナーのフィリップ、スタッフのヴィンセントと一緒に。もちろん二人ともサイクリスト。フィリップはコンクール・マシン2016も自ら走っていましたよ。

最初に紹介するのは、ジルベルソーの自転車用バッグです。1950年代に創業して1980年代まで続いた、フランスの老舗自転車用バッグブランドである『Sologne(ソローニュ)』が廃業した際に、使っていたツールや技術を受け継いで後継者となったジルベルソー。そんなジルベルソーのバッグは、伝統のデザインを改良しながら、今も一つひとつ丁寧に職人の手で作られています。


ソローニュの縫製職人から直接指導を受けて、そのキャリアをスタートさせたベロニク。彼女は1985年からこの道一筋。ジルベルソーのバッグは全て彼女の手によるものといってもいいぐらい。彼女の産休中、バッグ類の生産をストップさせて復帰を待ったというから、ジルベルソーも懐が深いですね。

そして、下の写真は私のフロントバッグ。マップケース部分の糸がほつれているのを見つけたベロニクが「ちょっとミシンまで持ってきて。直してあげる」と、修理をしてくれました。ちなみにジルベルソーのものではありません。ベロニクの職人の仕事に対するリスペクト、そしてサイクリストへの温かなまなざしを感じます。


皮革を使ったパイピング等は、どうしても使っているうちに糸がほつれたり切れたりしてしまいます。けれども、素材そのものはとても丈夫なので、メンテナンスをすれば長く使えるもの。そろそろ新しいバッグにしようかな……とも考えていたのですが、これからも大切に使おうと思います。


レザーサドルは、1枚革をプレスして成形した後、カタチを整える作業が加えられて最終的にベース部分と手作業で組み上げられます。


一つひとつシリアルナンバーの入ったリベットをボルト留めして組み立て完了。ちなみに、メンテナンスや修理の際に、トルクレンチを使ってカンタンに分解・組み立てできるというのも、経年変化を楽しむレザーサドル・ユーザーに嬉しい機構ではないでしょうか。

せっかくなので、恥ずかしながらずっと疑問に思っていたことを伺ってみました。ずばり「なぜプラスチックのベースを使っているんですか? どうして色はグレーなのですか?」と。無知かつ失礼な質問で恐縮だったのですが、フィリップは笑顔で答えてくれました。「素材は企業秘密だよ。だけど他の色や素材も試してみて、これが一番強度が高くて耐久性があって、しかも軽かったんだよね」と。


そういえば、クルマのタイヤも基本は黒で他の色はほとんど見かません。これは、ゴムに配合する補強材とでもいいますか、混ぜ物のなかでもっとも性能がよいものの色が黒(カーボンブラック)だからだと聞きました(参考URL web モーターマガジン)。自転車も鮮やかな色のタイヤは、スタイルやファッションとして楽しむものといった位置づけですよね。機能を追求していくと、素材もおのずと限定されていく。自身もサイクリストであるフィリップ。使う側の視点に立ったモノづくりをされているんだな、と感じた瞬間です。

ちなみに、私は大学時代に絵画を専攻していたのですが、そういえば絵の具も、顔料の成分によって発色だけでなく退色性も変わってきます。そんなことも思い出して、妙に納得したのでした……。


日本ではあまり知られていませんが、自転車用品のセレクトショップでもあるジルベルソー。こちらのショールームでは、オリジナル商品の全ラインアップのほか、ジルベルソーがプロデュースしている自転車やセレクトしたパーツなど、実際に手に取ってみることができます。


帰りはスタッフのヴィンセントに自転車におすすめのルートを聞いて、駅までサイクリング。川沿いののどかな小径を行きます。


混み合う列車には載せられないこともありますが、TGVなどの特急列車以外は輪行の必要はありません。そんなわけで、私たちも自転車を載せて急行列車で次の街へ。






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